ひと目でわかる霜月祭りガイドブック

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ひと目でわかる霜月祭りガイドブック

発行:堅浦区・堅浦古典芸能保存会

堅浦霜月祭り

由来及び歴史

 元禄15年(1702年)以降270余年にわたって、堅浦地区の霜月祭典の奉納芸能として、棒術・長刀術・獅子舞・神楽がある。

(1)棒術・長刀術・獅子舞

 今から、およそ280年前に海岸寺の三代目住職である寂光院秀海師が、京都伏見の総本山醍醐寺の布教師として、全国を修行している際 に、護身術として、棒・長刀術を修得した。
 また師は、その他に獅子の舞をも身につけて帰った。

 元禄15年(1702年)頃に食糧飢饉が襲来し、疫病が蔓延して、村人に多くの病人、死人が出て、村民はまさに奈落の底に落とされた のごとく、苦しみにあえいだ。
 この飢饉疫病から村人を救うことを祈願して、早鷹神社に棒術・長刀術を奉納した。

 その御利益は大にして、食糧飢饉から脱し、疫病は平癒し、村人達は、従前のように平穏豊かな生活をとりもどした。
 爾来、神社祭典のおり、神前において、この棒術・長刀術・獅子舞を奉納するようになり、今日まで寂光院流として伝承されている。

(2)神楽

 明治26年(1893年)に、羽迫神社宮司が、現在の臼杵市熊崎の三島神社の宮司、三島神社宮司三島一男氏より伝承し、初代薬真寺 宝助氏6名の有志によって、この神楽を舞ったことに始まり、今日まで継承されている。
 神楽は、興行用のものと違って、祈念・祈願を目的としたものである。

    

霜月祭り行事仕様

 堅浦に鎮座する羽迫神社の霜月祭りには、獅子・長刀・棒・神楽が奉納される。
 霜月祭りは、旧暦11月14日・15日両日であったが、現在は、新暦11月15日に近い土・日の両日に行われている。

 初日は、午後2時30分に羽迫神社に集合、獅子舞を奉納してから心霊を神輿に遷し、おたち神楽を奉納する。
 午後4時神社を出発してお旅所にご神幸がある。

 行列は先伴として長刀・棒・神輿と宮司の前後に神楽師、後伴として天狗・獅子と氏子総代が続く。
 神社出発、道中お旅所到着の際、長刀と棒は道楽を使い、お旅所には午後4時15分ごろ到着する。

 お旅所にある地区公民館に神輿を安置して、お着き神楽(入坐・柴入)、館外の広場では獅子・長刀が奉納され、午後5時30分ごろ終了する。
 2日目に午後2時ごろ海岸寺に集合して獅子舞を奉納し、午後3時にお旅所に到着する。3時30分ごろから獅子・長刀・棒を奉納する。

 午後4時にお旅所を出発して羽迫神社に還幸し、納め神楽を奉納する。
 なお神楽は朝から公民館で八番を奉納する。

◆ 獅子・長刀・棒・神楽

演技の大要

(1)獅子舞

  • 天狗が衣紋を正して祈念する。
  •  
  • 獅子に向って軍配を差し出すと獅子は驚いた所作をする。
  •  
  • 天狗が獅子に近寄る。
  •  
  • 両者が接し、獅子が天狗の軍配を噛み取ろうとして揉み合う。

  •  
  • 太鼓の調子が早くなってセッカケ(追い込み)となる。
  •  
  • 天狗は周り飛びをして後退し、獅子が後ろを追って一巡する。
  •  
  • この間、天狗付きの猿は天狗の衣紋直しを手伝ったり、天狗の所作をひょうきんに真似て笑わせ、天狗と獅子が揉み合う時は獅子付きの猿と投げあいをする。

(2)長刀術

  •  長刀は2組に分かれ、公民館側と鳥居側に一列縦隊に並んで待機する。
  •  1組(2名)づつ中央の指南役の前に進み蹲踞(そんきょ)して礼をする。
  •  指南役が清めの塩を撒く。拍子木で立ち、組ごとの手を使う。
  •  終了の拍子木で蹲踞して礼をする。


  •  たって長刀を右に抱え込んで戻る。
  •  長刀は、立会・長刀・鉄砲・いぐり・納め水車の5手である。
  •  棒術の基礎であるが昔よりも簡略化されているらしい。

(3)棒術

  •  棒も長刀と同じように2組に分かれ、打ちは公民館側、受けが鳥居側に一列縦隊に並んで待機する。
  •  1組(2名)づつ右脇に棒を抱え込んで中央の指南役の前に進む。
  •  
  •  棒を地上に人の字に置き蹲踞して両手を前に下げて礼をする。


  •  指南役が清めの塩を撒き拍子木を打つ。
  •  立って、打ちは左足を引き、受けは左足を出して棒を取る。
  •  先ず各組とも共通の木棒を使い、次に組ごとの表の棒を使ってから列の位置に戻る。
  •  「インヤー・エーイ」「トー」の掛け声を交わす。


  •  再び登場して裏の棒を使う。
  •  終われば指南役の前で左足を前にして踏ん張り、右手を水平にして棒を立てる。
  •  蹲踞して棒を立て終了の拍子木が鳴ると、立って棒を右に抱え込んで列に戻る。
  •  棒は次の24手であるが、15手しか演技できなくなっている。
  1. 片ごけの戻り〜立会のてがしら
  2. 片しずみ〜納め崩し
  3. 切り返し〜長刀構え
  4.      
  5. 突き棒〜襷追い回し
  6. さいとり足〜つり足
  7.      
  8. こけ別れの納め〜本棒取り
  9. こけより〜双ひじき
  10.      
  11. たんまくら〜足つき棒
  12. 押し返し〜片ひじき
  13.      
  14. 双ごけの戻り〜本棒取り
  15. 双ごけの棒取り〜ひじ構え
  16.   
  17. 打ち出し〜気合
  18. 地蔵棒〜地蔵崩し
  19.       
  20. しずみ〜納めのてがしら
  21. 水車〜入り込み
  22.        
  23. 鉄砲構え〜いぐり
  24. 切り込み返し〜槍構え
  25.     
  26. 腰車〜鳥の横飛び
  27. 腰構え〜にらみ
  28.        
  29. しんがんつき〜切り返し
  30. 槍構え〜飛び切り
  31.       
  32. てがしら崩し〜引取りの戻り
  33. 中構え〜
  34.           
  35. 頭がんつき〜しばひき

 (4)神楽

  1.  入坐(いりまわし)〜4人立
  2. 神に幣を捧げ、感謝を表す神楽
  3.  柴入り(しばいり)〜4人立
  4. 祭典儀式に舞い、斎場を始め氏子の罪やけがれを祓い清め氏子の繁栄を祈る神楽
  5.  正護(しょうご)〜4人立
  6. 地の神を和め、五穀豊饒を祈る神楽
  7.  喰持(じきもつ)〜4人立
  8. 五穀豊饒を祈り、神に五穀を捧げる神楽
  9.  四点(してん)〜4人立
  10. 弓矢を持って、災いの神を祓い氏子の泰平を祈る神楽
  11.  魔払い(まはらい)〜4人立
  12. 悪魔を祓い家内安全を祈る神楽
  13.  返閇(へんばい)〜3人立
  14. 土地にある災い神を退け世の安泰を祈る神楽
  15.  大神(だいじん)〜1人立
  16. 家内安全を祈り、祭りの日の最後に舞う神楽で神社の大神を納め奉る
  17.  柴引
  18. 天の岩戸を開くため天児屋命、太玉命が八坂瑠のまが玉や八咫の鏡を真榊に掛けるため、天香具山の真榊を根こそぎするという神話で勇壮な舞です

2006年霜月祭りスケジュール

11月11日(土)
   
14:40  神楽・獅子舞 開始(羽迫神社)
   
15:00  御旅所(公民館)へ御渡幸(おわたり)
   
15:15  獅子舞・長刀・棒術 開始(御旅所)
   
15:20  神事 開始
   
15:40  神楽 奉納
   
16:20  終了
11月12日(日)
   
10:00  神事 開始(御旅所)
   
10:40  神楽 奉納
   
14:00  獅子舞 開始(海岸寺)
   
14:10  長刀・棒術 みちがく 開始(海岸寺〜御旅所)
   
14:20  神楽(柴引き)開始(御旅所)
   
       神楽終了、関係者到着後餅まき
   
14:30  獅子舞・長刀・棒術 開始
   
15:00  神事 開始
   
15:20  神楽 奉納
   
16:00  羽迫神社へ御環幸(おかえり)
   
16:10  神事 開始(羽迫神社)
   
16:30  神楽 奉納
   
17:00  終了